山門

寺院の正門
寺院の正門
令和二年修繕
寺院の正門
(令和2年修繕)

山門とは
山門(さんもん) とは、寺院の入口に設けられた門のことで、単なる出入り口としてだけでなく、仏教の教えに基づいた精神的な区切りを示す重要な意味を持っています。特に、臨済宗妙心寺派をはじめとする禅宗寺院では、山門は俗世と仏の世界を分ける境界としての役割を果たします。
山門の由来
「山門」という言葉は、本来、寺院が山中に建立されることが多かったために生まれた呼び名です。特に中国の禅宗寺院では、深い山の中に建てられることが多く、その入口を「山門」と呼ぶようになりました。これが日本にも伝わり、たとえ平地にある寺院でも「山門」と呼ぶ習慣が定着しました。
山門の意義と構造
山門は、参拝者が俗世の煩悩を捨て、清らかな心で仏道に入るための門とされています。禅宗の寺院では、「三解脱門(さんげだつもん)」とも呼ばれ、**空(くう)・無相(むそう)・無作(むさ)**の三つの境地を象徴し、門をくぐることで悟りの世界に近づくと考えられています。
寺院によっては、三門(さんもん) という表記を用いることもあります。これは、門が一つの構造物でありながら、仏教の「三つの解脱(解放)」を象徴するためです。
また、山門の造りは寺院ごとに異なり、楼門(ろうもん)形式の立派なものから、簡素な木造の門までさまざまです。楼門の上層には、仏像や天井画が安置されていることもあります。
山門は、単なる建築物ではなく、参拝者にとって心を整え、仏道へと足を踏み入れるための大切な場所です。この門をくぐることで、世俗の喧騒を離れ、静寂の中で仏の教えに触れることができるのです。